福岡宝石市場スタッフ・ブログ

2015年8月30日 (日)

時事とムダ知識 13~デザイナーの昔と今

どうもこんばんは。あっという間の8月で、しかももうすぐ夏休みも終わっちゃいますね。

今月はなーにをかこーかなー?(;´∀`)なんて思ってる間に29日になってましたょ(;´゚д゚`)エエー

前回のタイトルも「時事とムダ知識 13」でしたが、よーく考えたら(否、見直したら)「美術品とジュエリー」ってシリーズもあるやん?シーッ! d( ゚ε゚;)って気がつきまして、変更しました。

ですので、今回が「時事とムダ知識 13」にしちゃいます。
今回はタイムリーネタに食らえ付いたわけではなくて、たまたまFacebookでシェアされていた記事がありまして、そこからいろいろ思うことがございました。
まずはこちらをご覧くださいませ。

デザイナー佐野研二郎氏の諸問題について(2)デザイナー諸氏へ

橘川氏が綴っていらっしゃるnoteというものです。

橘川幸夫氏
ディア・プロデューサー、出版編集者、マーケッター、コンサルタント。株式会社デジタルメディア研究所所長。東京都新宿区出身。國學院大學文学部中退。著作・講演多数。(ウィキペディアより)

前回のブログにも記載しましたが、かくいうわたくしめもデザイン科を卒業しましたので、デザイナーとして最低限必要なものを学びました。

その頃はまだ「マック」という名前より「マッキントッシュ」と言っていたような気がします。
もちろんマッキントッシュのパソコン授業もありましたが、台数が限られていましたから、週に2回授業があるかないか。
写植用のパソコン台数もわずかでした。
ですから、全てが手作業で作られていた、そんな時代です。

250pxmacintosh_classic

※マッキントッシュクラシック(ウィキペディアより)

コピー機を駆使し、文字を拡大。直線を引いた台紙に拡大した文字を視覚的な感覚で乗せ、糊で貼りつける。

ロットリングを取り付けたコンパスで美しい円を描く。

0.7mmのロットリングで0.5mm間隔の直線を描く。…すでにミリ数に矛盾を感じる?

Img7450135881560※製図セット

全てが手作業。

マウスで好きなところに好きな図形が置けて、大きさも変えられる。文字の場所なんて自由自在。しかも素人さんが好き勝手にできる時代が来るなんて考えも及びませんでした。

橘川氏がおっしゃっている「デザイナーは職人」という言葉は私にとっては当たり前の言葉なのです。
ですがデジタル技術が進み、デジタル文化の応酬で職人と呼べる人は限りなく減っていく。

橘川氏の文面にある「デジタルとは、表面的には誰もがデザイナーになれる時代なのである。そこには修行もなく、経験からのノウハウ蓄積もない。」

修行もなく、経験がなかったら何なんだろう。
プロの定義ってなんだろう?
そこには何が残っているのだろう?

さらにこう記載されていました。「グーグルCEO『20年後、あなたが望もうが、望むまいが現在の仕事のほとんどが機械によって代行される。』」

人の可能性、人であること、それはなんなのか?そう思えました。

インターネットの普及で仕事の仕方も変わりました。私もその恩恵を授かっている一人でもあります。

でも、機械は決して万能ではないこと。

私は恩師からこう言われました。
「本来のキャンバスに置いてみらんとわからん。推測とかミリ数で話してもなんもわからん!実物を置いてみて、描いてみて初めてわかる!!」

やってみたら確かにそうだった。

ほんの微細な間隔でさえも見え方が違ってくること。

人間の感覚は時として機械よりも精巧に精密に違いを出してくる。研ぎ澄まされた熟練職人の作りだすものはそこに違いがある。

機械ではできないことがある。
人間でなければできないことがある。
そこに味だったり、美しさだったりがあるのではないかと。

宝石の研磨もあの小さな石の小さな小さな面を職人が少しずつ削り、磨いていくのです。その微細な間隔。これは機械では決してできない微妙なバランスだと思っています。
正対称であれば美しいバランスですが、自然が生み出したものを如何に一番大きな体積で、一番輝く状態で削りだすのか。
そのわずかな正対称ではないバランスは、やはり人だからできるものだと私は信じて疑いません。

加工職人さんもそうです。サイズ直しでデザインの構造上、アーム部分は真円にならないことがあります。そうすると楕円にせざるをえません。その楕円な状態ではサイズは測れないのに「指合わせ」という技術でサイズを完璧に合わせます。こんなに楕円なのに?指にぴったり!と驚くことがあります。

それは今までの経験や技術のなせる技です。

短大の話に戻りますが、入試は静物デッサンでした。
入試対策でデッサンの夏期講習に行った際、日替わりで講師が違いました。そこで衝撃的なことを言われました。
「美しさは完全だから生まれるのではなく、僅かにバランスの壊れたところを兼ね備えているからより美しい。」

人間は機械的な正対称のものに対して違和感を感じるようです。

無機質さ、面白みの無さを感覚的に違和感として感じるのかもしれません。

便利な時代になりました。でも全てが機械にとって代わられてしまうことは絶対にないと信じて止みません。

だって、全てが機械にとって代わったら…そんな時代はきっととっても味気ない。

つまらない時代だと感じるのではいか、私はそう思います。

プロとは?職人とは?

「職人魂」それはその筋を極めたものにしかわからない、崇高な世界なのかもしれません。

鑑別の世界も成分分析の世界になりました。ダイヤモンドのカットグレードも機械測定になりました。でも見た目の美しさ、バランス、それは人間の感覚が最終着地だと思っています。

私は人生の半分を宝石業界に置いているといっても過言ではありません。

今まで見てきたもの、経験して培われたものは短時間では養えないと信じ、今から新たに吸収していく知識を更なる糧とし、プロとして胸を張っていけるよう精進しようと心に刻みました。

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