福岡宝石市場スタッフ・ブログ

2016年2月28日 (日)

誕生石と産地と私 6~2月アメシスト

パソコンを買い換えました!!(∀`*ゞ)テヘッ

これでウィンドウをしこたま開いてもフリーズしたりしないっすヽ(°▽、°)ノエヘヘヘヘ

いやー中古で本体だけだと安いのになんかいろいろメンテナンス代金とか無駄につけたら、新しいPC買えるんじゃ?と思えたことは…Σ(´∀`;)!! そっとしておいてください。

1月は行く、2月は逃げる、っと毎回言ってますね。だって早いんですもの。

今月は伯母のバースデーでした。そんな伯母の誕生石はアメシスト。

むかしむかし、とても若いころ、子どものころからキラキラしたものが好きだった私の身近な宝石は水晶でした。その中でもひと際目を引くのはやはりアメシスト。

この業界に入りまして、こんなにΣ(||゚Д゚)ヒィィィィ…(以下略)

ですが、幼い頃の思いと伯母の誕生石ですので今月はアメシストをテーマにしましょう。

Amatista_laye

※Wikipediaより

アメシスト和名は紫水晶ですが、大枠は石英 水晶、古くは玻璃

化学式:SiO2
結晶系:低温型/ 三方晶系 高温型/六方晶系
へき開:なし
モース硬度:7

石言葉は「誠実・心の平和・高貴・覚醒・愛情」

紫は高貴な色とされていますから、言葉に入っているのも理解できますね。

旧約聖書の『出エジプト記』プリニウスの『博物誌』キリスト教では男性の宗教的献身のシンボルと記載があるため、歴史は非常に古いようです。

高貴な人たち(特に聖職者)はアメシストを常に冷静さを保つ護符として身につけており、酔って恥ずかしい姿を曝さないようにしていたようです。聖徳太子の『冠位十二階』最上級の色は紫ですし、また兵士たちの指揮をとるためにも身につけると冷静さを保ち浮足立つことがなくなるとされ、ソルジャーストーンの異名を持っているとのこと。

アメシストの語源はギリシア語のamethustos(酔わせない)が由来。酔いを防ぐ効果があると信じられていたそうで、これはギリシャ神話が大元です。

お酒の神様ディオニソスはいつもの宴会の余興として「この獣を最初に出会ったものにけし掛けよう」と言いました。その最初の相手がアメシストという妖精の女官で、獣に襲われようとした瞬間、月の女神アルテミスがアメシストを水晶に変身させました。酔いからさめたディオニソスはその罪を悔い、水晶にワインをかけたところ透明の水晶から紫色のアメシストへと変化した、と。

そこから酔わないおまじないの効果がある、というところも納得できますね。

しかしですね、ギリシャ神話っていつも酷い?えぐい?と思うんですよ。惨劇のような余興とか、助けてあげるのはいいのですが、必ず変身させてそのままなんですよね…。そのまんまですよ、(゚Д゚)ゴルァ!!

ま、神話なのでそこは置いておけってことなのでしょう。

さて、話を戻します。お買取の場合、アメシストは20ctupと大きなものからやっと査定の対象となります。かといって宝石店で安いのか、というと決してそうでもないですよねぇ。

何しろお買取の際には処理だとかを意識しないので忘れている知識もたくさんです。そして改めて調べていくと確実に忘れていることが山ほどありました。

まず、アメシストの色因はケイ素を置換した微量の鉄イオンによるものだとされています。

産地なのですが、調べれば調べるほど深いですね、これ。

ちなみにウィキペディア先生はこうおっしゃっています。「ブラジルのリオ・グランデ・ド・スール州は世界最大の紫水晶の産地。スリランカ、マダガスカル、中央アフリカでは質の良いものが産出する。日本では、宮城県白石市の雨塚山や鳥取県で産出される。」

ところがです、昔は宝石研磨の先駆けとなったドイツのイーダーオーベルシュタインで産出されていたが今は枯渇している、といったことや、ザンビア産のアメシストは濃くてきれい、ブラジル産のアメシストは色が淡かったり、黒かったりと鮮やかさに欠けるものが多いため加熱されてシトリンに加工されているとか、ウルグアイ産のアメシストは色だまりが多いとかとか。

なるほど、かなり産地によって違いがあるんですね。こんな風に見てみたことなかったので、ちょっとアメシストに対して申し訳なくなります。

アメシストは「紫外線に曝露すると退色する(直射日光の当たる窓際などに置くと色が褪せてくる」のです。ちょっと実験してみたいですね。

先ほど、ブラジル産のアメシストのところで記載してますが、「加熱すると色の変色が起こり、宝石名としてはシトリンとなる(現在出回っているシトリンはアメシストを加熱したものが殆どである)」そういえば鑑別機関にいたとき、シトリンには加熱のコメントつけてたなあ?

ってトパーズの回で書いているんですけども…(;´∀`)、それはつまり覚えてないってこと。…ってことはナチュラルなシトリンは??ごくわずかしか産出されないようです。

そして淡い緑色の水晶の「グリーンドアメシスト」は、アメシストを処理したものがほとんどです。こちらはしっかり認識してましたけども、もちろんナチュラルのグリーンドアメシスト、プラシオライトも存在します。

これはある一定の鉱山で少量産出され、あるジュエリーショーで大量に出てきてからおかしいと鑑別機関で問題になり、突き詰めていくとこれは加熱もしくは照射処理を施しているところにいきついたそうです。

ちなみにプラシオライトの産出国はアメリカ合衆国カリフォルニア州とネバダ州境界付近。

※ジェムリサーチジャパン様のホームページより

長い時間をかけて、人の手を借りずに加熱されたり照射されていればナチュラルなのですが、それが人の手を介したものなのか、否かを看破するのが鑑別機関の大変なところです。ほとんどはいたちごっこなのですけど。

それに私が鑑別機関にいたとき、合成と天然の水晶(アメシスト含む)の値段が変わらないと言われたことがありまして、そこの問題ってどうなってるんだっけ?とちょっと恐ろしくなりました。これはまた3月の勉強会の時に聞いてみます。

水晶は一番身近で手軽に手に入る宝石です。

紫色というものは何とも魅惑的な色で、私も大好きな色であります。

親しい友人に言わせれば「よしだのイメージカラーは紫でしょwww」と言われました、けど最後のwwwってなんなのさ?(;´Д`)って思いますが、ありがたいのでいいや。

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これは我が家にあるアメシストたち。

金の印台リングは亡くなった祖父のもの。内包物ががっつり入っていていささか残念なのですが、とても深く美しい紫色です。→あら?これはザンビア産なのかしら?

とっても大きなアメシストは伯母のもので、ジョージ・ジェンセン風のデザインをフルオーダーで当時かなり破格なお値段で作ってもらったみたいです。ある意味ラッキー(゚∀゚)アヒャ→これは大きくて色ムラあるからウルグアイ産なのかしら?

購入するときは高くて、売却する時は値段がつかない、宝石って資産価値ないのね、と言われます。確かにお買取時の価格だけみるとそうなのですが、この宝石一つを作り上げるまでにいろいろな人の手を経由している、と思うとそうでもないかなと私は思います。

この価格でこれを手に入れることができる、その価格を善し悪しにするのは自分の気持ちひとつ。

確かに暴利な価格を設定しているところがあるので一概には言いきれませんけども…。

我が家のアメシストたちだって、お買取ベースでみれば枠代金だけです。でもそこには何にも変えられない思い出が詰まっています。

そして思わぬ産地特徴に今度からそれベースで見てみようと楽しみが増えました。

と、相変わらず美しい言葉で締めくくりたいところですけど、実際お買取業界に入った時の私のショックっていったら…私の持ってる宝石ってなーにーチンチクリンやないのっ(ヽ'ω`)

はい、今回もお後がよろしいようで。