福岡宝石市場スタッフ・ブログ

2015年11月24日 (火)

誕生石と産地と私 5~11月トパーズ

皆様こんばんは。非常に眠たかったのですが、気が付いたらきっと日付が12月1日になっている( ;∀;)と思ったので、今にも死にそうなパソコンの電源を入れた私です。皆様いかがお過ごしですか?

前回のブログが不発(;´Д`)=3 否、不完全燃焼ですっきりしない感がありまくったので今回はトパーズにぶつけたいと思います(# ゚Д゚) ムッカー(トパーズに迷惑やの…)

Large_topaz_gemstones

※upload.wikimedia.orgより参照

トパーズ 和名は黄玉(おうぎょく)ケイ酸塩鉱物

化学式:Al2SiO4(F,OH)2
結晶系:斜方晶系
へき開:一方向に完全
モース硬度:8

トパーズの語源ははっきりしてないそうで、ギリシャ語の探し求める意味のトパゾスからや、サンスクリット語で火を意味するタパソ?からという文献もあるそうです。(ウィキペディアより)

このトパーズ、どこから話を切り出していこうか迷います。
今の一般的なものは、青い碧いトパーズかな?と思いますのでこちらから紐解いてきます。

ブルートパーズと呼ばれるものは無色のトパーズを放射線照射したものです。
昔は処理を施されてないブルートパーズが存在したそうですが、それはほとんど産出されないため放射線照射したものが出回るようになりました。
ものすごく濃い色のものをいろいろな異名で呼ばれていたこともあります。
私が記憶しているものは「ロンドントパーズ」だったような…なぜ「ロンドン」なのかは謎ですが…(ヽ´ω`)
ですので、ブルートパーズを買取で持ち込まれた場合、非常に大きなもの以外は残念ながらお買取の対象にはなりません。

昔はブルートパーズが出回る前、ピンク系のトパーズかイエロー系のトパーズしか流通してなかった、という状況だったようです。

次に問題、というか業界として困るのが「シトリントパーズ」という誤称、フォールネームについてです。

そもそも「シトリン」と「トパーズ」は全くの別物ですが、どこからこれがくっついてしまったのか?
私が最初に聞いたのは、やはり宝石の商売上でのことでした。
シトリンはご存じの通り水晶の黄色いもの。紫色がアメシストで黄色いものをシトリンと呼びます。

トパーズの中で屈折率の高いOHタイプのもの、こちらを「インペリアルトパーズ」と言い、先ほど説明したブルートパーズは屈折率の低いFタイプのものと区別されます。
区別されるからにはお値段も違います。こちらと混同しやすく売りやすくするために「シトリントパーズ」という誤称、フォールスネームで販売していき、浸透していったとのことでした。

調べてくともう少し掘り下げることができました。

そもそもシトリンとは果実の「シトロン」に起因しており、中世ヨーロッパではクオーツとペリドットとトパーズがごっちゃになっていたこと。
そしてアメシストを加熱すると美しいイエローのシトリンになることが分かり、これがトパーズではないのに「ゴールデントパーズ」と呼ばれ、市場に大量に出回りそれと区別をするため、当時ブラジルに在位したドン・ペドロ皇帝のインペリアルを冠してインペリアルトパーズと呼んだのがインペリアルの由来だそうです。

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※自社販売終了分商品より

という背景から産出国はブラジルであることがわかります。インペリアルは赤味の強いオレンジ色やシェリーカラーといわれるシェリー酒のような色、オレンジよりもかなり濃い赤味がかったものがカテゴライズされます。

淡いピンクのものもありますが、こちらをインペリアルと呼ぶにはどうも賛否があったようです。OHタイプとFタイプの中間タイプというものもあり、こちらをインペリアルと呼んでいいのかということだそうです。
ブラジル以外で採れるOHタイプはパキスタン。
Fタイプのものはロシア・ナイジェリア・スリランカ・メキシコ、そしてたまーに日本でも産出することがあるそうです。

無色のトパーズはダイヤモンドと見紛うと記載がありまして…それはないなぁ、と思ったことは言うまでもありません。

Fタイプのブラウントパーズは光に長時間さらしておくと褪色する傾向があります。そのため宝飾品には不向きです。

私がロンドントパーズの次に驚いたのは「ミスティックトパーズ」と呼ばれたもの。これは要するにコーティングしたものでした。
裏からチタニウム照射でトリートメントしたもので、七色に光ります。見た目に不自然でしたから、これがジュエリーとして出てきたときにひっくりかえったことは言うまでもありません。工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工

調べた際に面白い記述がウィキペディア先生にありました。
それは日本の産地での出来事をまるっとコピペします。※ウィキペディアこちら。

日本の産地
石井研堂『明治事物起原』(橋南堂、1908年(明治41年)1月)によれば、日本では西洋の鉱石学が伝わるまで、黄玉(トパーズ)と水晶を区別するすべを知らなかった。同書によれば、明治3年(1870年)、高木勘兵衛が美濃国(岐阜県)恵那郡苗木山で「細くして糸のごとき」鉱石を発見したのが日本でトパーズが知見された最初という。ただし、高木の発見した石の特徴は緑柱石に近く、この時発見したのが本当にトパーズだったかは疑問が持たれている。
その後、水晶にしてはやや硬すぎ、細工に困る石が次々に採掘され、その石が高価で売れたことから、ようやく土地の者の注意を引くようになった。高木は教育博物館の者にその石を売ったとき、初めてその石が黄玉という貴重品であることを知ったという。高木はトパーズで財をなし、「トパズ勘兵衛」と呼ばれた。

これを読むとわかるように、昔からトパーズとシトリンは非常に区別しづらいものであったことがわかります。

かく言うわたくしめも間違ったことがあります…インペリアルと記載されているものを鵜呑みにしました…。冷静になると確認する手段はありましたが、その時は疑いもしませんでした。先入観とは甚だ恐ろしいものであります。(´Д⊂ヽ

で、誕生石を調べると11月は「シトリン・トパーズ」と記載があることがあり、ちょっとムッとします。

「一緒にしないでよっヽ(`Д´#)ノ ムキー!!」と。

シトリンが悪いわけではないのに、詐欺まがいのことに片棒担がされた感が否めません。
トパーズ自体も悪いものではないのですが、照射されたものが出回ったのでインペリアルが薄らいだ感を感じます。

そして、調べているともう一つ面白いものを見付けました。

Eshop_22000000363392※自社販売終了商品より

こちらの画像がなぜか「NAVERまとめ いろんな種類がある11月誕生石のトパーズ」のトップに出てくるのです。

いやー、これはきれいなインペリアルだもんねぇ、ってピンクやけど??(´ε`;)と思いながらうちの販売商品がトップにあることに、なぜだか誇らしげになりました。(ΦωΦ)フフフ…

美しくまとめようと思いましたが、何十年もこの業界に居ながら出張先でインペリアルとシトリンを見誤ったことを露呈したところで締めたいと思います。

「最後まで信用せず疑え」これが骨身に染みたインペリアルトパーズでした…|-`).。oO(・・・)

お後がよろしいようで。